こんにちは。最近、ようやく腹を決めました。
今日はついに読んだ一冊の、ご紹介です。
※この記事には、本書の「あらすじ」「最初の10ページ程度までの内容」が含まれています。それ以外のネタバレはありませんが、事前情報を限りなく減らして読みたい方は、先に本の方をお読みください。
篠田節子『逃避行』
なんで「ついに」なの?というと…あらすじを読んでいただければ、犬飼いの皆様にはわかってもらえるのではないかと思います。
まずは本書のあおり文、ご覧ください。
家族だけを最優先に生きてきた主婦・妙子。愛犬・ゴールデンレトリバーのポポが、不幸な事故で隣家の子供を咬み殺してしまった。夫と娘は世間体を考え、犬を差し出そうとする。妙子はすべてを捨てて逃げた。ポポを守るために…。
これを読んだだけで、もう…辛い。
脳内でがんがん「自分だったら?」「うちの子だったら?」のシミュレーションが始まっちゃいます。
どう考えても辛い、辛い、辛すぎる…。
ということで、結構長いあいだ気になってはいたのですが、勇気がなくて読めなかった本でした。
犬が子どもを咬んでしまう、ということ
んで、読んでみたら…辛かった。
とにかく冒頭が、辛かった。
子供のいたずらは、二年生になった今年の春以降、ほとんど学校に行かなくなった頃から、いっそうひどくなった。
篠田節子『逃避行』10ページより
目を放せば、塀越しに玩具のピストルで銀弾をぶつけたり、だれに聞いたのか胡椒を顔に振りかけたりする。犬の方も、子供の姿を見るだけで怯え、腰から後ろの毛をびっしりと逆立てて逃げるようになった。
そしてこの日、庭に入った子供は、癇癪玉を犬に向かってぶつけたのだった。
そして大きな音が苦手なポポちゃんがパニックになり、子どもを咬み殺してしまうところから物語が始まるわけです。
もうね。もう。
もう、許せない…!!
と、完全にわんこ側に感情移入して読んでしまうわけです。
いじめられてどんなに怖かったことだろう。
咬みついたとき、どんなに必死だったことだろう。
そう思うだけで涙が出そうです。
もしもうちの子だったら
我が家のしいは、人を噛まない犬です。
小さい頃にとにかく「歯を当てることはいけない」としつけました。
その甲斐あって、口に手を入れられても噛みません。
でも、大好きなおやつ(干し芋とか)に夢中になっていると、たまーにおやつのつもりで指ごと食べたりします。
本気で噛んでいるわけでなくても結構痛いです…。
そして、しいはビビり犬でもあります。
幸い現状は「怖い→逃げる」なので、驚いたときや怖かったときに対象へ向かっていくことはほとんどありません。
でも、「あり得ない」とは言えません。
我が家のシェルは、躊躇なく噛む犬です。
とはいっても手を出されて噛むことはありません。
彼が噛むのは拾い食いを邪魔されたとき。「嫌だ」を伝えるために、がぶっと噛んできます(もちろん全力は出してきませんが、あざになります)。
手からおやつをあげると、時々勢い余ります。
歯を武器にすることをためらわないタイプです。
どちらも、「人にいじめられた」のを見たことはありません。
だから、そのときどんな反応をするかわかりません。
でも、犬です。噛むことはあり得ます。
どうすれば防げたか
もちろんこの小説の面白さは、タイトル通りこのあとの「逃避行」にあるわけですが。めっちゃ面白いんです。どきどきはらはら、しながら読みました。
でも、わんこ至上主義者(言い過ぎ)としては許せないわけです。なんでポポちゃんが逃げなきゃいけないの!?
主人公やその周りの人の幸せは置いておいて(!?)ポポちゃんの幸せを一番に考えたいわけです!!
通報する!
となると、まず「隣家の子供」を野放しにするな!ということが一番に考えられます。
「塀越しに玩具のピストルで銀弾をぶつけ」るって、その時点ですさまじいじゃないですか。
というかこの前の時点で、この子庭に侵入してきて「棒切れで殴ったり、妙なものを食べさせたり」してくるんですよ。
通報。
通報だ!
通報するしかない!!
と、熱くなりながら読みました。
(開始10ページかそこらなので、まだまだ導入シーンなんですが。のめりこみすぎ)
だって、しいがorシェルが「棒切れで殴」られたりしたら…。
警察呼びます。110番通報します。近所の子どもだろうが何だろうが、オオゴトにします。
だってかわいい我が子ですよ!!?
目を離さない!
あとは「犬だけで庭に出さない」「犬から目を離さない」。
私は我が家のわんこたちにべったりなので、基本在宅時は同室にいます。寝るときもわんこと一緒。
わんこの寝息が聞こえていないと不安です(言い過ぎ)。
これを読んで「絶対この子たちだけで庭に行かせたりしない」と決意しました。
(そもそもわんこだけで遊ばせられるほど広い庭なんて…ないわけですが…)
もしも起きてしまったら?
全力でうちの子を守るだろうな、と思います。
これと同じケースだとしたら、相手が自分の家に入ってきているわけですから、こっちに非はないわけで。
人殺しと罵られようが、痛くも痒くもない…わけではありませんが、愛犬と引き換えに守れる世間体なんて!い!り!ま!せ!ん!!!
保健所に引き渡したその日から、心が死にます。
きっと、立ち直れません。
読み終わった後興奮しすぎて、パパに向かって
「もししいちゃんかシェルくんが人を咬み殺したら、引っ越して誰も私たちを知らないところでやり直そうね!?」
と熱弁をふるってしまいました。
パパは落ち着いて、
「そもそも咬み殺さないように気を付けようね」と言っていました。その通りです。
まとめ
犬連れ主婦の逃避行はスリリングで面白い
冒頭が一番しんどい
最初のシーンがショックすぎて、しばらく読み進めるのがきつかったです。というかいろいろ考えちゃって、なかなか読めませんでした。
そこを乗り越えてしまえば、とても面白く読めました。
愛犬家の皆様、ぜひご自身のシミュレーション結果を教えてください。にいで家のママでした(‘ω’)ノ
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