犬の権利が保障された世界…『さいごの毛布』

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しいちゃんが机にあごを乗せて寝る犬と本

『さいごの毛布』を読みました。涙もろいママ、何度か泣きました。
わんこ好きにはぜひ読んでほしい、社会派小説のご紹介です。

もうこの表紙だけできゅんとしてしまいます(犬好き)。

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あらすじ

主人公の智美が勤めることになったのは、犬を預かる「老犬ホーム ブランケット」。
預けられた犬の事情も様々なら、預けた人の事情も様々。
その中で智美が感じ、考え、成長していく姿を描いた一冊です。あらすじは以下の通り。

年老いた犬を飼い主の代わりに看取る老犬ホームに勤めることになった智美。なにやら事情がありそうなオーナーと同僚、ホームの存続を脅かす事件の数々――。愛犬の終の棲家の平穏を守ることはできるのか?

KADOKAWA Webサイトより

刺さったところ

個人的にネタバレが苦手なので、なるべくなしで、以下感想です。
どんな事前情報もなしで読みたい…!ってタイプの人は、以下を読む前に本書を読みましょう(すごく面白いよ)。

それでは以下、個人的にぐっと来たポイントです。

わんこの描写

筆者は2020年現在も保護犬のにこまるくんと暮らす犬好きの人物(筆者のTwitterでにこまるくんとの暮らしが垣間見れます)。
それだけに、犬の描写はさすがの一言。
テンションがあがって胸を踏んでくる犬、困っている人に集まってくる犬、焼き芋によだれを垂らす犬。

自分の犬との暮らしがばあっと立ち上がってきて、胸が詰まりました。
あまりにも生々しくてリアルなので、いちいちしいちゃんシェルくんのことを考えてしまってぜんぜん泣くとこじゃないのにウッてなります(´;ω;`)

犬っていろんなことを覚えているんですよね。
我が家のシェルくんは猫が大好き。お散歩中、一度猫と会ったことがあるポイントに差し掛かると急ぎ足になることがあります。
前に猫がいたほうを見ながらじっとたたずんでいる様子を見ると、「思い出してるのかな」と感じます。

首がもげそうになるぐらいうなずいた

読みながら「こういう老犬ホームが近くにあったらうれしい」と思っていたので、作中のセリフにうなずきました。

「わたし、ブランケットみたいなところはもっと増えるべきだと思う」
(中略)
「もっと増えて当たり前になって、犬を飼えないから処分したなんて言うと、モラルがない人としてみんなから糾弾されるような社会になればいい。動物の命が、飼い主の環境や気持ちひとつで決まるなんて、理不尽だわ」

『さいごの毛布』単行本p.198より

しいシェルは我が家の大事な大事なわんこです。
でも犬だから、日本では法的にはただのモノです。
たとえだれかが殺しても、「モノを壊した」という罪にしか問われません。

幸い我が家は今のところ、協力的な親戚や犬友達、(元保護犬なので)出身団体や元預かりさんがいらっしゃいます。
ある意味、「飼い主に何かあったら」というときの安心感があります。
でも、それがない犬は…何もセーフティネットがないのが現状です。
我が家の安心感だって、いつ何があるかわかりません。絶対的なものでは全くありません。

人間と同様に、とまでは言わないけれど、犬にも犬の権利を認める社会であってほしいな、と思いました。
今の社会で犬を飼えなくなったら、他の飼い主を探すか保健所に連れていくか、はたまた安楽死か…。

でもそんなの、変じゃないですか。

どんな人にも「まさか」は起こり得ます。
健康な人でも、若い人でも、病気や事故で「犬を飼えなくなる」ことはあり得ます。
将来的に絶対何もない、なんて人はいないはずです。

我が家の安心だってあくまでも「今のところ」。昨今の社会情勢を見て、つくづくそう思います。

飼い主にどんなことがあっても、「当たり前」に犬の権利が守られる社会になってほしい、と思ったのでした。
皆さんはどう思いますか? 「社会と動物」について考えるきっかけになればと思います。
にいで家のママでした(‘ω’)ノ

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