動物保護ってどんなもの?『ノラ猫あがりのスターたち』

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犬と本

今回紹介させていただくのは、超有名な一冊。
すでにご存じの方が多いかもしれません。
猫好き、犬好きな方にはもちろん、「保護活動って実際は何をしてるの?」という人にこそ読んでもらいたいのがこの本です。

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『ノラ猫あがりのスターたち』

どんな猫でも、幸せなスターになれる」という信念の元、著者の田辺アンニイさんが「スカウト(保護)」して「スターとしてデビュー(譲渡)」につなげてきたねこちゃんたちの記録です。

田辺氏は2009年に「それでも人を愛する犬」という作品を上梓されています。
こちらはわんこの保護活動に関する記録。すごーくいい作品です。そちらもいずれご紹介できればと思っています。

2002年から個人で保護活動をされてきた田辺氏ですが、現在も活動をされながらペットシッターをされています。詳しくは氏のブログをご覧ください(幸せの703号室)。

この本がおススメなのは、いくつかの疑問に答えてくれるから。私もすごく腑に落ちました。

疑問1:野良猫の方が幸せなんじゃない?

自然の中で自由に暮らしている、というイメージを持たれがちなノラ猫です、が。

ほんとうにノラ猫は幸せなのでしょうか?(中略)守ってくれる手が近くにある犬猫は総じて満ち足りた顔をしています。

『ノラ猫あがりのスターたち』157ページより

実際、本書を読むと「ノラ猫は幸せ」とは言えないと思います。
ノラ生活は危険がたくさんあります。
交通事故や悪天候、飢えや乾き、虐待する人間などなど…。

我が家のしいちゃんは山で野良犬が生んだ子ども。
生まれてすぐ保護された5兄妹でした。今は全頭が別々の里親さんに引き取られ、幸せに暮らしています。
もし保護されていなかったら、このうち何頭が生き残れただろう…そもそも何頭が成長できたのか、その後何頭が人間につかまって処分されることになるのか、と考えると暗い気持ちになります。

そして我が家のシェルくんですが、現在体重16kg前後。
埼玉県で放浪していたところを捕獲されたわんこです。
捕獲されたときの体重は現在の半分、なんと8kgでした。
放浪しているあいだ、どれだけ飢えに苦しんだだろう、と思います。
そのせいか、今でも散歩中なんでも口に入れようとします。ご飯は食べてからお散歩に行ってるんですけどね…。
また、保護当時フィラリアも陽性でした(今は陰転しています)。
その後遺症で心臓に雑音が残り、今でも毎日心臓のお薬を飲んでいます。

何度だってアップさせてください。冒頭の写真と比べていただければ…がりがりです。

この写真を見て、それでも「ノラは幸せ」とは言える人…いるんでしょうか。

また、シェルくんは推定年齢9歳のタイミングでフィラリア由来の胸水貯留を起こし入院しました。
フィラリアは予防できる病気です。野良の時代がなければこんなことにはなりませんでした。


野良猫/野良犬は太く短く、幸せに生きている」という意見を目にすることもあります。
でも、少なくても私は、肺に溜まった水で呼吸が圧迫されて眠ることもできず苦しむシェルくんを見て「お外で自由に暮らせたときがあってよかったね、太く短く生きられて幸せだよね」とは思えません。

疑問2:譲渡条件をそんなに厳しくする必要ってある?

保護犬猫の譲渡に関して、「譲渡条件が厳しすぎて里親になれない」という声をよく耳にします。
その中で特に気になったのは、「家まで来られるのが嫌」という意見。
でも、「家まで行った」からこそ防げた事件もあるのです。

それは本書に掲載されている「アールちゃん」「ダイアちゃん」という猫ちゃんが関わった事例。
動物病院から紹介された譲渡先に向かうと、そこは知らされていたマンションではなく団地。事情を聞こうと里親希望者に会ったところ、家族構成や先住猫が聞いていた話と違う。
「大事に育てます」と言って猫を受け取った希望者は豹変。実は…というケース(ぜひ「ノラスタ」をご覧ください)。

悪意を持った里親詐欺は存在します。
にゃんこ、わんこを守れるのは人間だけ。「ちゃんと」しないといけないのは人間なんです。

悪い人がいなければいい、というのはもちろんですが、目の前のわんこ・にゃんこを守るためには必要な条件なんだ、とわかっていただけるのではないかと思います。

疑問3:保護活動者って何をしてるの?

目の前の動物を保護し、育て、譲渡する。
けっこう「普通」のことをしているな…というのが、読んでの感想です。
なんだか特別なことをしている人…というイメージを私も持っていましたが、自分が出会った困っている野良を保護して世話をしている人たち。
周囲の友人が猫を保護した、里親になったという事例も出てきます。読んでいるうちに「なんだか私にもできるかもしれない」と思えてきます。

たいそうなことはできなくても、私はまず、自分の世界を隙間なく愛で塗りつぶしたい。

『ノラ猫あがりのスターたち』194ページより

動物の保護活動、っていうとなんだか固い感じがしますが、そんなに気合を入れてやることでもきっとないんですよね。
目の前の子にしてあげられること、少しでも何かできることをできる範囲でやる、それだけでいいんじゃないかと思います。

私も超短期間ですが子犬の預かりボランティアを経験させていただき、「保護活動って意外と自分の生活と地続きなんだな」と感じました。

名著ですのでぜひ周りの方にも教えてあげてください(‘ω’)ノにいで家のママでした。

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