歯磨きから歯石取りまで、今まで複数の「デンタルケアについて」の記事をまとめてきました。別にプロでもなんでもなく、わんこの歯と格闘しているただの飼い主に過ぎない私ですが、こう考えると結構いろいろやってきたなあ…と思います。
そして最終手段…タイトル通り、「全身麻酔による歯石除去」。
こちらも経験済みです(っていうと私が歯石取ったみたいですが。歯石を取ったのはうちのわんこです)。
以前書いた記事で、「セルフケアで歯石が取れた」というものをあげていました。
それなのになぜ、全身麻酔による歯石除去に踏み切ったのか?
実際やってみてどうだったのか? 本当にきれいになったのか?
気になるお値段、いくらかかったの?
などなど、まとめてまいります。
※今回もわんこの口の中写真がたくさん出てきます。苦手な方はご注意ください※
シェルを知るまで
3か月で我が家にやってきた、一代目愛犬のしいちゃん。口の中のかなり奥まで触らせてくれます。
(若干嫌がりますが)
奥歯を磨いても、犬歯を触っても、絶対に人の手は噛みません。
(若干嫌がりますが)
だから、「犬の歯磨きなんて余裕~♪ 歯石だって時間をかければ取れるし~♪」と思っていたんです。
我が家にシェルが来るまでは!
シェルくんのお口
推定8歳で我が家に来たシェル。
口の中に手を入れれば、嫌がって噛みます。
(そりゃそうだ…嫌だよね)
無理に入れると、血が出るまで噛まれます。もちろん手加減してくれているのはわかります。こちらが手を引けばやめてくれるし、本気噛みじゃないんですが、それでも痛い!
歯を磨こうとすれば暴れるし、口の奥なんて見せてもくれません。
それでも寝込みを襲いながらの「歯磨きシート+歯ブラシ+歯磨きガム+リデンタ」の合わせ技で、ほとんどの歯石は取れました。
でも、どーしても犬歯がダメ!だったんです。
まず、こちらが左側の犬歯。
(これは歯石除去直前の写真なので、セルフケアで歯石を取って、かなりきれいになっている状態です)
ちょっと根元が汚い感じではあると思いますが、おおむね歯石は取れています(最初はこの歯もそこそこ歯石がついていました。詳しくは「犬のデンタルケア・歯石だって家で取りたい編」をご覧ください)。
問題なのは、右側。写真はこちら。
これは素人の手には負えない…!!
と思ったの、わかっていただけたでしょうか( ;∀;)
歯の付け根の部分が露出してしまっています。また、左側に比べて歯茎がぷっくりと腫れてしまっているのも分かるかと思います…。
我が家に来た段階では、これに加えて歯石がついた状態だったシェルくん。
幸い歯石はほとんどなくなりました。が、この犬歯は何とかしないと…と思って思い立ったのが「全身麻酔による歯石除去」です。
そもそも歯石除去って?
そもそも歯石除去ってどんなもんなんだ?
全身麻酔かけなきゃいけないの? それって危なくない?
しいちゃんの去勢手術のときはもちろん全身麻酔。その際、万一に備えて…っていうことで念書を書きました。
そのイメージが強く、「麻酔は怖いな…」と言うのが正直な気持ちでした。
分からない時は…とにかくプロに聞く! ということで獣医さんへGO。
このときはしいちゃんのかかりつけが閉所になってしまったばかりで、新たなかかりつけの獣医さん探しをしていたところでした。
訪れた獣医さんに歯を見てもらうと、
「これは…結構ひどい」
「(これでもきれいになったんだよー、と思いつつ)きれいにできますか?」
「うーん…」
と、細い針のようなもので歯茎を探る獣医さん。歯周ポケットの深さを簡単に調べてみる、とのことでした。
そのときの見立ては、「歯の根元まではやられていないけど、歯石除去ができるならしたほうがいい」。
しかしそのときシェルは、まだフィラリアが陽性の状態。
「フィラリアが陰転してからのほうがいいですか?」と問うと、
「そりゃあその方がリスクはすくないですよ」
まあそりゃそうか。と思ったのですが…その後。
「できるなら年に一回ぐらいしたほうがいい。もちろん全身麻酔はリスクがあるけど、どの子も(しいちゃんをちらっと見ながら)歯石はちゃんととった方がいい」
しいちゃん、歯石なんてないですけど?
しいちゃん、めっちゃ歯、きれいですけど??
え、それでも年に一回…必要なの!?
自力で調べてみる
そのときはあまり思うように聞けず、帰ってから色々調べてみると、確かに「定期的な歯石除去がおススメ」という情報が出てきます。
そもそもシェルくんは、引き出してくれた団体さん(わんにゃん小梅保育園さん)がスケーリング(歯石除去)をしてくれてるんです(譲渡のときに聞いた)。
収容された保健所から引き出されてから約1年、保護団体さんにいたシェルくん。
一回取ったのに、うちに来たときにはあんなに歯石がついていた。
ということは…やっぱり年に1回は必要、なのか…?
…いや、おかしいでしょ!
体質もあるかもしれないけど、「年一回のスケーリング(というか全身麻酔)」を前提としてくるのは変…だと、思う!
やっぱりプロに聞こう
ということで、別の病院に行きました。
そこの先生も「可能なら歯石除去をしたい」というご意見。うん、汚いですもんね…。
しいちゃんの歯は「きれいに磨けてますね。あ、ちょっと奥歯が汚れてるかも」ぐらいで、特に「年一回しなければならない」ということはなさそう。
それでもやはり、フィラリアは陰転してからの方がリスクは減る、とのこと。
病院の雰囲気とか、先生の人柄とか、説明の誠実さとか…いろいろやり取りをして、その病院で歯石除去をする決意が固まりました。
とはいえ、まずはフィラリアの治療を…ということで、思い立った段階からだいぶ時が経ちます。
…
……
………
祝:フィラリア陰転
ということで、さっそく、歯石除去の予約を取りました。
歯石除去手術、当日
手術前
全身麻酔なので、前日の夜でご飯はおしまい+当日朝6時以降はお水もダメ、という注意を受けました。
たまたまその日、飼い主たちに用事があったので、しいちゃんも同じ病院に預ける予定で日程を組みました。
先生「ご飯とお水、どっちの子も気を付けてくださいね」
私 「え、しいも抜いたほうがいいんですか?」
先生「抜く必要はないんだけど、どっちかだけにあげることってできます?」
私 「全然できます(笑)」
というやり取りを経て、いざ当日!
(なんだかやたらこの会話が印象に残っています)
ちなみに、しいが食べているあいだシェルは別室、で対応しました。我が家はそれぞれ別々なフードを食べさせているので、特に苦労せず分けられました。お水だけは普段置いてあるものを下げて、これもしいだけ別で飲んでもらいました。
どきどきして病院に預け、「頑張ってね!」とお別れ。こっちがだいぶ緊張していました。
手術後・劇的ビフォーアフター
夜、お迎えに行きました。
「麻酔でぼーっとしていると思うので、カートなどを持ってきてください」
と言われたので、ペットカートを押してお迎えに。
「きれいになりましたよ」と先生が歯のビフォーアフター写真を見せてくれました。
「すごい!このデータください!」と言ってみたら、本当にくれました。
(先生、ありがとう…!!)
それがこちら。
めっっっっちゃ、きれい!!!
犬歯のところ、すっごくきれいになってる…!!!
これは歯磨きじゃ無理だ。
これは、プロに頼まなきゃ無理だ。
と、痛感しました。
先生は「黄ばんでるところがいまいちきれいに落ちませんでした…」とちょっとしょんぼりしていた(確かに根本のところが黄色い)のですが、何をおっしゃる!
元々黒く汚れていたところが黄ばんでいる程度まで落ちたんです。予想以上の仕上がりでした。
麻酔が切れたシェルくんは本当にぼーっとして、うつろな感じ。
抱き上げてカートに乗せてもぐったりしていて、うつらうつらしていました。
「よく頑張ったね、えらかったね」と声をかけながら帰宅しました。
(しいちゃんはものすごく元気いっぱいで、帰る途中の広場で一緒にしばらくダッシュしました)
帰宅後の夜は何度か立とうとしたり這って動いたりはしていましたが、かなりぐったり。
力が入らないようで、おしっこも少し漏らしていました。
でも次の日はすっかり元気に。ご飯も食べ、元通りになりました。
(おしっこくさかったので、数日後シャンプーしました)
全身麻酔による歯石除去にかかった費用
キレイになったー! とはいえ、気になるのがお値段、ですよね?
検索して心の準備をしていたのですが、相場は3~5万らしく。
事前にお医者さんに伺ったところ「1万5千円です」。え、ほんと?
いやいや、でも結局他で色々かかるんでしょ? とか思っていたのですが(ごめんなさい)。
処置した結果、抜歯が必要な歯があればやはり追加で費用がかかるとのこと。
実際かかった金額、こちらです。
再診料 500円 歯石・歯垢除去手術料 15,000円 注射料 2,300円 +消費税(10%) 1,780円 →計:19,580円
安い…!?
もっとかかると思っていたので、ちょっとびっくりしました。
処置した結果、ダメになっている歯などはなく、抜歯などの必要はなかったため追加でお金がかかることはなかったと聞きました。
せっかく全身麻酔をするんだから…と、それに合わせて気になるおできを取ってもらったり(これに関しては「根も深くないし悪性ではないと思います。増えなければ大丈夫なので様子を見ましょう」とのこと)、しいちゃんを半日預けたりの料金を合わせて払ったんですが、歯石除去にかかった金額はぴったりこれだけ。
朝から預けて夜お迎えに行ったので、実質ほとんど一日預かってもらっていたシェルくんですが、
「結局は手術で預かることになるので、(夜のお迎えでも)預かり料はいらないです」
とのことでした。
ちなみにしいちゃんも同じ時間預かってもらっていたのですが、1泊じゃないということで「半日割引」をしてもらってました。良心的…!
※これはフィラリア陰転のためにしばらく通院していた、我が家のかかりつけ医での料金です。それぞれの病院やわんこの歯の状態で金額は違うと思うので、気になる方はまずはお問い合わせください!
歯石除去のメリット・デメリット
実際にやってみて感じたことをまとめます。
まずメリットから。
メリット
1)口臭の軽減
というか、口臭がほとんどなくなります。すごい!
セルフケアでは取り切れなかった何とも言えない唾液の香り、そしてべたつきが激変しました。
シェルくんの唾液はかなりぬとぬとしていた(手を洗ってもなかなか落ちないぬめりがあった)んですが、それがあら不思議、さらりとした手触り(?)のよだれに。
歯石除去直後は本当に(しいちゃんよりも)さらさらした唾液でした。
1週間ほどでややぬめりは出てきましたが、それでも歯石取り前よりずっとぬとぬとは減っています。
口臭は除去直後はほんとうに「なし」。しばらくするとこちらもややにおいは出てきましたが、手術から2か月ほどたった現在も、うっすらかおる程度を保っています。
2)歯磨きが楽
きれいだから、歯がよく見えます。それだけでも磨きやすさが違います。
また、歯石を取るだけでなく研磨されているので、歯の表面がつるつるに。ざらざらした引っ掛かりがなくなったので、汚れがつきにくく磨きやすくなりました。
このおかげで、自宅でのケアがかなり楽になりました。
自分で歯石を取った部分は、どうしてもその下がざらざらした感じになってしまいます。ざらざらのままだとそこに食べ物がひっかかるんですよね。
そこが解消されて、すっきりしました。
自宅で歯石をちょっと無理して取った部分は傷が残ってしまい、後悔しています…どうせ取り切れないなら、早めにプロに任せればよかったです。
(シェルくんはフィラリア陰転を待たなければいけなかったのですぐに除去するのはもともと無理でした。それでも犬歯部分は無理に取らなければよかったと思ってます)
3)歯茎のはれが引いた
ぷくっと腫れていた部分がかなりひいて、健康的な感じになりました。
痛みを感じているかどうかは残念ながらわからりませんが、見た目はかなり健康的な歯茎になっています。
ただし、上の写真でもわかるとおり、一度上がってしまった歯茎は元に戻りません。
これは事前にお医者さんにも言われました。戻すためには縫合が必要、とのこと。
(歯石除去をして見た結果、歯周ポケットは深くなく、見た目ほど状態は悪くなかったのでそこまでの処置はしなかったとのことです)
やはりここまでひどい状態になる前に歯石除去をするのが理想的、ということですね。
では、デメリットは、というと。
デメリット
1)全身麻酔は影響が大きい
しばらくふらふらしますし、(シェルの場合は)尿漏れがありました。
そのせいでちょっとペニスの周りが汚れ、軽くうんでしまいました。
(きれいに拭いて洗ってあげれば問題ないレベルです。すぐ治りました)
また、麻酔あけは本犬も意識がもうろうとするようで、一気に老いた表情に。
「かわいそう…ごめんね…」と、見ていてちょっとうるっとしました。
(次の日から普通に元気でしたが)
……それぐらいしか思いつきません。
事前に調べていたデメリットとしては、以下のものがあるかな、と思います。
2)高い…?
私の感覚としては、これで2万ならむしろ安いな、と思いました。
こんなにきれいになるならやらない選択肢はない。自分ではできないレベルのきれいさです。
これだけきれいになれば、普段のケアもだいぶ楽です。
それに、わんこが顔をぺろぺろしにきても「ウッ」ってなんないんですよ。
せっかく楽しそうに駆け寄って来てくれても、口臭のキツさに人間が「ウウッ」ってなったときのわんこのかわいそうなことといったら。
それがなくなったのはかなり大きい成果です。
3)全身麻酔は怖い…?
これで躊躇していた部分は私もあるので、わかります。
しいちゃんの去勢手術の麻酔のときは「今生の別れになるかもしれない」っていう思いがありました。わんこの麻酔って、そのくらい重いイメージがあったので。
ただ現在は麻酔技術の向上により、昔ほどリスクはないそうです。
また、どのくらい深い麻酔をかけるのかによってもリスクは違うとのこと。
「歯石除去の麻酔で命にかかわるようなことは、絶対とは言えませんがまずないですよ」
と言ってくれた先生を、我が家は信じました。
また、我が家のシェルくんはこの施術のタイミングで推定8歳。
保健所からレスキューされた保護犬なので正確な年齢はわかりませんが、そこそこシニアです。やはり麻酔にはためらいはありました。
それでも、危険性と利益をはかりにかけ、一回の施術でこれからの犬生が充実したものになるのなら…と決断した次第です。
※これもかかりつけの先生に聞くのが確実です。まずはプロに聞こう!
現在の歯の状態
除去手術を行ったのは2020年3月。この記事を書いているのは2020年5月なので、施術から2か月が経ちました。
ケアとしては普段通り、「毎日の歯磨き(歯ブラシ)+時々歯磨きガム+時々リデンタ」です。
これを続けた結果…。
何もしなければ数日で歯石になってしまうというわんこの口の中としては、きれいに保てているほうではないでしょうか。
2か月経っても歯石は全然ついてません。before写真と見比べていただけると犬歯の部分は全然違うのが分かると思います。
まだまだ歯磨き練習中のシェルくんなので、ちょっと黄ばんできてしまっている感じなのは反省。
ある程度歯磨きができる子であれば、術後のぴかぴかを保つのもさほど苦労はしないと思います。
今後の展望
とはいえ、もうやりたくない!
…きれいになったのはありがたいんですよ、念のため。
シェルの体にかかる負担を考えると、今後はなるべく「全身麻酔をかけなきゃいけない状態」にはさせたくない、ということです。
ここからは歯磨きをきっちりやっていくことで、歯石のないきれいな状態を維持していきたいと思います。
歯石除去から1年経った2021年の3月、シェルくんのお口の中はどうなっているのか…!?
(そこまでブログが続くように、がんばりまーす)
以上、にいで家のママでした。ブログが続くように応援してください(‘ω’)ノ
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