暖かくなったり寒くなったり、体調を崩しやすい日々。
そんな春は狂犬病ワクチンの季節でもあります。
我が家はこういうものはすぐに打ちたい派なので、今年も打ってきました(写真はちょっと前のものですが)。
すっごいどうでもいい話なんですが、雑種=Mongrelってかっこいいですよね…。
狂犬病ワクチン、打ちたくない?
こういう時期だからね
集団接種も中止になっている自治体が多いみたいです。
2020年に関しては、厚生労働省からこういう情報が出ています。
犬を飼育されている方は、狂犬病予防法に基づき毎年4月1日から6月30日までの期間に予防注射を受けることとされています。
厚生労働省HP「動物を飼育する方向けQ&A」より
しかしながら、今年は、新型コロナウイルス感染症に係る感染拡大状況等を踏まえ、感染症のまん延防止の観点から7月以降に受けることも可能とする方向で検討を進めておりますので、慎重に対応していただきますようお願いいたします。
不安な場合時期をずらせるのはうれしいですね。私はそもそも6月末までなの、知りませんでした…(いつも4月に打ちに行くから)。
このあと省令により、年内に打てばよいという指針が発表されました。
そして2021年、2022年も、厚生労働省から「狂犬病予防法施行規則の一部を改正する省令」が出ています。
ざっくりまとめると、「新型コロナウイルスの発生・まん延の影響によるやむを得ない事情があれば、本来の期間が過ぎたあとに打っても期間内だったことにするよ」という内容です。
つまり、6月末を過ぎても打ちに行って大丈夫だよっていうことですね。でも必ず「速やかに」受けさせてね、とあります。
ただし2024年に関しては、この省令は出ていないようです。そうすると例年通り、6月までに打つ必要があります。
そもそも打ちたくない?
で、調べているうちにこんなワードを見つけました。
え、打たないの? 接種をやめましょう…って、どういうこと???
気になったので、調べました。
狂犬病ワクチンを打ちたくない、という意見
そもそも飼い犬にだけワクチンを打っても意味がないよ、という意見はすごくよくわかります。狂犬病って猫にもコウモリにもかかりますもんね。
それでも、畜犬登録と鑑札の装着、狂犬病予防接種は飼い主の義務です。
登録されていない犬、狂犬病の予防注射を受けていない犬、鑑札や注射済票を装着していない犬は、捕獲・抑留の対象となります。また、飼い犬を登録していない所有者や飼い犬に予防注射を受けさせていない所有者、飼い犬に鑑札や注射済票を装着していない所有者は20万円以下の罰金の対象となります。
厚生労働省HP「狂犬病に関するQ&Aについて」より
あえて予防接種を受けさせない、というのはグレーでもなんでもなく違法です。
狂犬病のワクチンを打たないのは、違法です。
(大事なことなので2回書きました)
体調面が心配な場合は、獣医師から「狂犬病予防注射猶予証明書」を発行してもらえます。
実はシェルくん、2021年はかかりつけのお医者さんからドクターストップが出まして、狂犬病予防接種NGとなりました。
不安なときは必ずお医者さんにかかりましょう。
副作用が心配
「打ちたくないなあ」という理由としては、これが一番大きいのではないか…と思います。私も心配。
これを機に、どのくらいの確率で副作用が起きるのか、真剣に調べてみました。
2004年からすべての獣医師に副作用報告が義務付けられています(薬事法第77条の4の2第2項)。また、狂犬病ワクチンの副作用は、農林水産省動物医薬品検査所による「動物用医薬品等副作用データベース」にて公開されていることがわかりました。
また、狂犬病予防注射頭数は厚生労働省で公開されています。これを合わせれば、副作用が出る確率が計算できるはず!
ということで、計算しまーす。
副作用が起きる確率は?
副作用の報告から登録までちょっとタイムラグがあるようなので、試しに2015年~2018年の3年分をまとめてみました。
予防接種を受けた数(頭) | 副作用報告数(件) | 確率(%) | |
2015年 | 4,688,240 | 18 | 0.00038 |
2016年 | 4,608,898 | 20 | 0.00043 |
2017年 | 4,518,837 | 17 | 0.00038 |
確率で書いてもよくわからない…! というか、小さい…!!
しかたないので、何頭中何頭か、を計算しました。
ざっくり計算すると、副作用が出るのは「23万頭~26万頭に1頭」ということになります。
また、副作用の中にはわんこが亡くなるケースだけでなく、そのあと回復したケースも含まれています。
また、健康状態がそもそもよくなかったケースや、ワクチンによる反応かがあいまいなものも。
もちろん何らかの副作用が出ても飼い主が医者に伝えなかったケースなどを考えると「これが全数」とは言えませんが、かなり正確な数字なのではないかと思います。
この確率は高いの?低いの?
凝り性なので、比べてみました。まずは「1年間のうちに交通事故に遭って重傷を負う確率」との比較です。犬飼いさんは毎日散歩に出るので、リアルな数字のはず。
国土交通省、統計局が発表している2019年のデータを使っています。
日本の人口(人) | 重傷者数(人) | 確率(%) | 何人に1人か |
約1億2616万 | 32,025 | 0.02538 | 3千9百人に1人 |
狂犬病予防注射で亡くなるリスクより、動物病院に行くまでの交通事故リスクを心配した方がよさそうな数字です…。
とはいえこれは重傷というだけで、回復した人も入っています。ということで、次は「1年間のうちに交通事故に遭って30日以内に亡くなる確率」。
日本の人口(人) | 30日以内死者数(人) | 確率(%) | 何人に1人か |
約1億2616万 | 3,920 | 0.00311 | 3万2千人に1人 |
これでもまだ、狂犬病予防注射の副作用が出る確率の10倍ぐらいあります。というか交通事故で亡くなる確率ってこんなに高いんですね…気を付けようと思いました。
ちなみに、2019年の環境省による犬の収容数と比べてみたのがこちら。
登録数(頭) | 引き取り数(頭) | 確率(%) | 何頭に1頭か |
6,226,615 | 35,535 | 0.57 | 175頭に1頭 |
この中に、狂犬病予防法に基づく抑留が含まれているとのこと。繰り返しになりますが、狂犬病予防注射を打たないのは違法ですから、未接種の犬が捕まることは法律上はあり得ます。
もちろん愛護センター等に収容されているわんこは畜犬登録されていない子も多いわけなので、単純な比較はできませんが…。
結論:医者に行こう
日本では狂犬病にかかったわんこはしばらく出ていません。副作用だって、0ではないです。いくらめちゃくちゃ確率が低くたって、1頭でもいたら心配、というのもわかります。
でもだからといって、単純に「打たない」だけではわんこをいろいろなものから守ることができません。健康なわんこたちが予防接種を受けることで、シェルくんのように「ワクチンを打てないわんこ」が助かります。
心配な方も、まずはかかりつけの獣医さんに行って相談しましょう。
少しでも疑問が解決していれば幸いです。計算ミス等があったら教えてください!
にいで家のママでした。
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