2020年7月5日、東京都知事選が行われます。
日本の首都だけあって注目度の高いこの選挙。愛犬家としては今後の動物行政がどうなるのかが気になります。
ということで、各候補者の施策について、「動物愛護について」はどうなのかを調べてみました。
あくまでもインターネット上の情報を個人が調べた内容のまとめです。各々で候補者の情報を確認されることをオススメします。
調べ方
候補者の公式ホームページ上の政策に関する情報と、選挙公報に掲載されている内容の中から、「動物」ならびに「犬」というキーワードをピックアップしました。
簡単に表でまとめたうえで、より深く調べた内容を掲載します。
立候補者は22名ですが、「選挙からの撤退」を表明した1名の候補者に関しては調査を行っていません。そのため、21名の候補者について調べた内容になっています。
また、公式ホームページ並びに選挙公報に上記のキーワードが含まれていなかった候補者については、それ以上調べることはしていません(SNSや動画サイトなどで動物に関する政策を発表していても以下には含んでいません)。
その理由は3つあります。
- 情報は随時更新されるため、すべてをフォローすることはできない
- 個人的に明確に文字化されていないものは信用できない
- よくよく調べなければ出てこない政策は重要視されているとは思えない
以下で取り上げなかった候補者が動物に関する政策を持っていない、と言いたいわけではありません。あくまでも個人が作成したまとめとしてご覧ください。
先に一覧
各候補者と、動物に関する政策を抜粋しました。あいうえお順に並べています。
今回調べた21名の候補者のうち、動物への言及があったのは7名でした。
候補者氏名(敬称略) | 内容 |
市川浩司 | 動物虐待防止、アニマルポリス設置 |
牛尾和恵 | 保健所の犬を老人ホームに |
宇都宮健児 | 殺処分ゼロ、飼い主のモラル向上、悪質な業者の摘発 |
小池百合子 | 動物福祉と共生社会の推進 |
込山洋 | 動物殺処分の実質ゼロ、アニマルポリス設置 |
後藤輝樹 | 捨て犬捨て猫の避妊手術無料に |
西本誠 | ペット殺処分ゼロ、罰則強化、ライセンス制度 |
以下でそれぞれの候補者について、調べて出てきた詳細です。
市川浩司氏
所属は「庶民と動物の会」であるという市川氏。上記の情報は選挙公報に掲載されていました。
しかし文字化された政策情報はほとんど見つからず。Twitterやニコニコ動画上では情報を発信しているようですが、今回は調べる条件に合わないため取り上げません。
牛尾和恵氏
牛尾氏の情報はほとんどなく、わずかに同氏のブログが公開されているのみ。
そのなかの「医療問題について」と題された記事に「保健所の犬を、老人ホームに届ける」という一文がありました。動物に関する内容はそれだけです。
本人も「たたき台を製作しました」と書いていますが、政策というよりは思いつきという部分が大きいように感じます。
宇都宮健児氏
選挙公報上には動物に関する政策はなし。宇都宮氏のホームページ上に掲げられた「総合政策集」の中に動物愛護に関する政策があります。
都の動物行政を、殺処分のゼロを目指し、市民の動物を飼う時のモラルの向上を働きかけ、動物たちと人間が共に幸せに暮らせるように変えます。劣悪な環境で飼育される動物を助け出すための仕組みも考えます。悪質なペット業者を摘発し、劣悪な環境の中で死んでしまったり、殺処分にされるかわいそうな動物の命を、少しでも減らすように努力します。
宇都宮けんじ東京都知事選2020「総合政策集」より
個人的に好きなのは、「殺処分のゼロを目指し」という点と、「モラルの向上を働きかけ」という点。
前者からは現状の東京都が掲げる殺処分ゼロ(譲渡不適と判断された犬猫は処分されています)をよしとしない姿勢が読み取れます。
また、後者からはいわゆる「蛇口を締める」、飼い切れなくなって捨てられたり保健所に持ち込まれたりする動物を減らそうという意識が見えます。
全体として政策集は細かく、誠実に作りこまれているような印象を受けました。
ただし動物愛護に割く文字数が多いわけではありません。
小池百合子氏
現職である小池氏は、選挙公報上に「目標より1年早い動物殺処分ゼロの達成」と成果を示しています。
ただし東京都の公表している「 平成30年度致死処分数の内訳」によれば、東京都では「動物福祉の観点から行った」殺処分が146頭、「引取り・収容後死亡した」のが211頭おり、計357頭が「致死処分」となっていることがわかります。
ちなみに取り扱い総数は835頭。繰り越しがあるためやや数値はずれますが、収容の半分弱が死亡している計算になります。
これで「殺処分ゼロを達成」としていいのか、個人的には甚だ疑問です。
小池氏はホームページ上で動物に関する政策を以下のように示しています。
犬猫など動物福祉と共生社会の更なる推進:災害時のペット対応、独居や高齢・多頭飼育の支援、保護・譲渡活動の支援、アニマルセラピーの推進、東京版ティアハイムの検討
小池百合子ホームページ「政策」より
さすが現職というだけのことはあって、具体的な政策が並んでいます。
個人的には現状の「殺処分ゼロ」のような、「目標に現実を無理やり合わせる」ことが行われることを危惧しています。
込山洋氏
込山氏は選挙公報上に「動物殺処分の実質ゼロ、アニマルポリスの設置」を掲げています。ホームページにも同内容が記されていました。
ただ、それ以上の詳細はなし。「動物殺処分」に「実質」という但し書きをつけている部分は評価しますが、それ以外はあいまいと言わざるを得ません。
後藤輝樹氏
選挙公報上では「捨て犬捨て猫の避妊手術を無料にします」と掲げた後藤氏。てっきりTNR推進派なのかと思ったのですが、同氏のホームページ上にはこの内容が記載されていません。
その代わり、「住みよい社会」の中にペットに関する項目がありました。
やや長いためまとめると、以下のような主張です。
- ペットショップにおける生体販売を禁止・規制
- ペットを登録制に
- ペット税を新設
- ペットを捨てたら刑罰を科す
- ペット動物園を作り殺処分を減らす
すでに犬は登録制(畜犬登録)であるため、氏の主張は猫・鳥などのペットを指しているものかと思われます。
「ペットを捨てる」ことへの罰則の強化に関係するものかとも考えられますが、主張の意図がよくわかりません(ペットを捨てることへの罰則は既に存在します)。
「ペット動物園」に関しては、さらに漠然としています。
後藤氏の政策はすでにある制度・法律を無視しているか考慮に入れていないものがあまりに多く、全体として現実味がありません。
選挙公報上の政策が他の部分で補完されていないことなどからも見える通り、動物愛護に関する政策は「思いつき」のようなものがほとんどでした。
西本誠氏
選挙公報上で「ペット殺処分ゼロ」を掲げ、「ペットを飼うためのライセンス制度を導入」「ペット殺処分における罰則の強化」を主張する西本氏。
飼い主のモラルを向上させることで殺処分を減らす、という主張のように読み取れます。
こちらもこれ以上の詳細は発見できませんでした。
同氏はあえて「ペット殺処分」としているところにやや疑問がわきます。現状引取り数の多くが所有者不明の犬や猫。こちらを「ペット」に含めるのかどうかが判然としません。
もしこれらを含めないとなると、「飼い主持ち込みの受け入れを拒否」するだけで簡単に「ペット殺処分ゼロ」は達成できてしまいます。この考え方がうがちすぎならよいのですが。
まとめ:動物に関する注目度は上昇している、が
21名の候補者のうち7名が動物に関する政策を掲げている、このこと自体は素晴らしいことだと思います。
ただし、その中でも詳細な政策を示しているのは宇都宮氏、小池氏、後藤氏の3名のみ(後藤氏は上記で示した通り、思いつきのような政策ですが)。他はキーワードとして掲げるにとどまっています。
まだまだ動物愛護は大きな争点とはなっていないのだろうと思います。
東京都にお住いの動物を愛する皆様、ぜひ愛犬・愛猫・愛鳥等々のために一票を。にいで家のママでした。
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