甘味料として使われることの多い「キシリトール」。
「絶対にわんこに食べさせてはダメ!」という記事がたくさん出てくる反面、「キシリトール中毒は嘘だ」という意見も。
どっちが正しいの?と思ったので、深掘りしてみました(‘ω’)ノ
先に結論:わんこがキシリトール入りのものを食べちゃった!という場合、まずは「何をどのくらい食べたか」を確認してお医者さんに連絡してください。
キシリトールはわんこにあげちゃだめ、本当?
根拠は?
2006年の論文しか根拠がない、だから嘘だ!という意見が散見されました。
同年、日本獣医学会によれば、日本での症例は1例しかなかったとのこと。
キシリトールにはヒトおよび実験動物に対する毒性はほとんどありません。しかし,次の条件が揃った場合は,重篤な症状を起こす可能性があります。
日本獣医学会HPより
1) シュガーレスのガム,ケーキ,菓子類で,キシリトールを甘味料に使っている場合。
2) キシリトール含有量の高いものではチューインガム1~2枚の摂取でも起こりえます。 ただし,他にブドウ糖源がある場合は比較的起こりにくいようです。
キシリトールそのものに毒性があるわけではなく、低血糖状態を作り出してしまうために危険だということ。
このホームページを根拠に、「症例がないんだから嘘だ」と言っている意見も見かけました、が。
症例、あります
2015年、ラブラドール・プードルミックスのわんこが、床にこぼれたガムを食べて中毒を起こしたケースが紹介されています。
米国動物虐待防止協会の中毒センターは82 の相談電話を受け付けた 2004 年に初めてキシリトールの警告をした。それが昨年は3727 件になり、少なくとも 11 頭は死亡している。
国立医薬品食品衛生研究所「食品安全情報」より
昨年というのは2014年を指すと思われます。
11頭の死亡例があるのに「症例がない」とはちょっと…言い難いのではないかと思います。
ちなみに国立医薬品食品衛生研究所では、2019年にも再び「犬のキシリトール中毒」に関する記事を「食品安全情報」で取り上げています。
また、ちょっと掘ったら2018年にキシリトール入りのブラウニーを食べたケース、2016年のキシリトール顆粒を食べてしまったわんこの治療に関する論文などが見つかりました。
食べたけど平気だった?
体験談的なことを書いているページに、「ガム(などのキシリトールが含まれているもの)をあげた/誤食したけれどなんともなかった」という意見が書かれているものもみかけます。
我が家でもキシリトール入りのものを食べちゃった!という経験はないので、実体験から…はお話できません。
ただし、「何をどのくらい食べたのか?」から考えることはできます。
それってキシリトール入ってました?
よく見かけたのが「ガムを食べちゃったけど何ともなかった」という意見。
でも、「ガム=キシリトール」ではありません。
ガムの味をつけるのに使われる「糖原料」。日本チューインガム協会によれば、使用されるのは「砂糖、ブドウ糖、水飴など」。「最近はマルチトール、キシリトールなどの甘味原料も使用」されるとありました。
つまり、ガムを食べた=キシリトールを食べた、ではないということです。
2014年、東京都健康安全研究センターによる「食品における糖アルコール類の含有実態調査」が行われました。
その調査によると、57の食品中キシリトールが検出されたのは飴、ガムなどの9食品。他の成分に関しても調査されており、表記がなかったものはそう記されていますが、キシリトールに関してはなし。つまり、キシリトールが含まれている食品はすべて表示があったのではないかと考えられます。
わんこが「ガムを食べちゃった!」というときは、まず表示を確認しましょう。
個体差もあります
また、当然ですが個体差もあります。人間でもガムを食べてお腹がゆるくなる人もいれば、そうでない人もいますよね。
自分のわんこが大丈夫だったからと言って、すべてのわんこが大丈夫!とはなりません。
海外だけじゃない?
日本の事例があまり見つからないのはなぜなのかな、と私も思いました。
考えるに、「甘味料としてのキシリトール」の普及度の違いが原因ではないかと思います。
Googleで「キシリトール」と検索したとき、一緒にキーワードとして出てくるのは「マスク」「ガム」「タブレット」。「歯にいいもの」「ガムに入っているもの」というイメージが強いかと思います。
しかしGoogleの「ショッピング」タブで検索してみると、出るわ出るわ、人工甘味料としてのキシリトール。
砂糖と同じように使えるようです。確かにこういうものを日常遣いしていたら、わんこの誤食の可能性もありそうです。
どのくらい食べるとどのくらい危ない?
非常に少量で症状が出るといわれる「キシリトール」。
体重1kgあたり0.1gの摂取で中毒症状が出るという報告があるそうです(ASPCAによる調査)。
その数値を使うと、我が家の2わんこでも1.5g程度で症状が出てしまいます。
もし体重5kgの小型犬なら、0.5gで症状が出ます。
先ほど例に挙げた「ガム」。
道端に吐き捨てられているガムにはものすごい魅力があるようで、我が家のわんこたちは引き付けられます…。
14粒入りで7gのキシリトールが配合されている…ということは、1粒0.5g含まれていることになります。つまり我が家の場合、3粒が危険なライン。
また、砂糖の代わりにキシリトールを使ったとすると、クッキーなどを自宅で作った場合…。
18枚分のクッキーに砂糖40g、というレシピを見つけました。そのまま置き換えると1枚当たり2.2g。
クッキーを1枚食べただけで症状が出る、ということにもなりかねません。
2022年追記:「いぬのきもち」掲載
「いぬのきもち」WEBサイトにも、「犬のキシリトール中毒に注意! 人用のガムや歯磨き粉で犬が中毒を起こす?」という記事が掲載されました。
「血糖値を急激に下げる」ことで中毒症状に陥る危険性があるとのこと。
やはりわざわざ食べさせる必要はないですし、気を付けたほうがいいですね。
まとめ:食べさせないに越したことはない
海外ではかなりの症例がある(キシリトール普及度の違いか?)
食べてしまったら病院へ!
わんこの場合、人間と違って元から虫歯にはなりにくい体質です。わざわざキシリトールを与える必要はないでしょう。
大前提として「人の食べ物はわんこに食べさせない」のが大切ですが、ノンシュガー製品などは気を付けて見ていく必要がありそうです。
誤食に気を付けて、楽しいわんこライフを(‘ω’)ノにいで家のママでした。
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