「ペット依存症」って本当にあるの?言葉の使い方は慎重に

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犬と暮らして

Twitterで「ペット依存症」をタイトルに冠した記事を見かけました。
「依存症」といわれると「病気!?」とぎょっとして、わんこと暮らす人間としては気になります。

ただし読んでみると…
精神疾患?」「社会問題?」
言葉の端々に首をひねる部分があったため、調べてまとめてみました。

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そもそも依存症って?

厚生労働省ホームページによれば、「特定の何かに心を奪われ、『やめたくても、やめられない』状態になること」とされています。

依存症のことを考えるときに大事なのは、そのことによって本人や家族が苦痛を感じているのかどうか、生活に困りごとが生じているのかどうか ということです。

本人や家族が苦しんでいるのであれば、それは改善が必要な状態ですので、依存症に関する正しい知識を身に付け、適切な対応をとっていくことが必要といえます。

厚生労働省ホームページ「依存症についてもっと知りたい方へ」より

つまり「ペット依存症」とは、「ペットに心を奪われ、やめたくてもやめられない状態になってしまい、さらに苦痛や生活上の困難を生じている状態」と考えることができます。
どちらかといえば嗜癖しへき(アディクション)と呼んだ方が近いかもしれません。

病気なの?

では、そもそも「ペット依存症」という病気はあるのでしょうか。

国際的な診断分類であるIDC-10(国際疾病分類第10版)で調べても、「ペット依存症」は出てきません(アルコールやたばこの依存症はあります)。
近年改定されてIDC-11が出ましたが、依存症として追加されたのは「ゲーム依存症」であるとのこと

厚生労働省のホームページにも、「薬物」「アルコール」「ゲーム」の文字はあれど、「ペット依存症」は見当たりませんでした。

また、東京都福祉保健局が実施した講演会の資料を発見しましたが、そこに挙げられているのも「ギャンブル」「食べ物」「買い物」など。「ペット」に対する依存は挙げられていません。

そのため、現状では「『ペット依存症』は病気として認められているものではない」といえると思います。

よくある症状、本当?

ここからは、わんちゃんホンポによる「『ペット依存症』の人によくある症状4選!依存しすぎるのは悪いことなの?」で挙げられた4つの症状に着目してまとめていきます。

「わんちゃんホンポ」は、株式会社ピーネストジャパンが運営する「犬」に特化した総合情報サイトだそうです。編集部による全記事のチェックが行われた上で掲載されているとのこと。

1.ペットを自分の子どものように接する

個人的にはいきなり「?」です。というか言葉がちょっと変な気がします。「ペットを自分の子どものように扱う」「ペットを自分の子どものように遇する」ならわかるんですが…。

上記の定義でいくと、これは全く「依存症」とは異なっています
自分の子どもと全く同様にみなし、ペット禁止の場所に連れて行ったり人間用の食事を与えたりしているのであれば「生活に困りごとが生じている」と言えると思いますが、具体的な兆候として挙げられているのは「ペットから見て自分のことを『お母さん』『お父さん』と呼ぶ」など。
生活の困難や周囲への迷惑、とはいえない例だと思います。

2.ペット以外に関心が向かない

東京都福祉保健局は講演会資料の中で、「正常な楽しいはずの活動が、コントロールし難い欲求や衝動によって非適応的に繰り返され、その結果としてその個人や他者によって有害となっている状態」を「行動嗜癖」としています。

「ペット以外に関心が向かない」結果、人間関係や社会生活に悪影響をもたらしているとすれば、それは依存と呼んで差し支えないと思います。

3.常にペットと一緒にいたいと感じる(ペットが頭から離れない)

どこにいても常に頭の中にペットが浮かび、「早く会いたい」「早く帰りたい」と考えてしまうことはありませんか。これもペット依存に陥っている人が発症しやすい症状の1つです。

わんちゃんホンポ「『ペット依存症』の人によくある症状4選!依存しすぎるのは悪いことなの?」より

これも、これだけで「依存症」とするのは無理があるように感じられます。私もいつもしいちゃんシェルくんのことを考えていますし、早く会いたい・早く帰りたいと思ってます(笑)。

依存症は「やめたくてもやめられない状態」なのですから、「ペットのことを考えたくなくても考えてしまう」「早く会わなければ、早く帰らなければと考えてしまう」であれば「依存」といえるのではないかと思います。

ペットと過ごすために「外に出るのをやめる」「仕事を辞める」等の具体例が挙げられていました。
ただこれも、本人や周囲が苦痛や生活上の困難を感じていなければ、依存症ではないはずです。

ペットと暮らす時間を取りたくて転職して幸せ、というケースはどうでしょう。
今まで付き合いで行っていたことをやめて生活が充実した、というケースは?

4.ペットに異常なまでの金額を費やす

この項目は「異常なまでの」という但し書きがありますから、依存の一形態といって差し支えないと思います。

ただし、具体例として挙げられている「他の飼い主と比較して、異常なまでの金額をペットに費やす人」というのはやや微妙な表現です。

依存症は「自分ではやめられない」というのが大きな特徴。ペットに多額のお金を費やすだけでは依存症とは言えませんが、「ペットに使うお金のせいで生活が圧迫され、困難を感じているが自分の意志だけでその出費を止めることができない」のであれば依存といえるでしょう。

いずれにせよ、金額の多寡だけで「依存症か、そうでないか」を決めることはできません

まとめ

自分の意志で止められず、周囲や本人に困難や苦痛が生じるのが依存症。言葉の使い方は正確に!

私は「ペット依存症」という言葉だけが独り歩きすることを危惧しています。健全に動物と暮らしている人までが、「ペット依存症」に悩んだり、周囲から誹謗されたりすることがあってはならないと思います。

その一方で、ペットとの関係が病的なものになってしまうケースもあることは事実です。
ペットとの暮らしを楽しむ一方で、常に客観的な目を持つこと、周囲からの言葉を受け入れることも重要だと思います。

そのためにも正しい知識・言葉の使い方が徹底されることを願っています。
私のこの記事もあくまでの素人が調べてまとめたものです。誤りがあったらぜひお知らせください。

にいで家のママでした(‘ω’)ノ

いぬのきもち&ねこのきもち

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